2015.10.15公開
未成年の子どものいる夫婦が離婚する場合,離婚後に子どもを養育していく親は,他方の親に対し,子どもの監護養育に必要な費用を請求することができます。これを養育費といいます。
養育費については,夫婦間での話し合いにより決めることができますし,合意に至らない場合は,家庭裁判所での調停,審判等で決めることになります。
では具体的に養育費の金額についてはどのように決めていくのでしょうか。
現在の裁判実務では,養育費の算定を簡易迅速化することを目的として,一定の算定方式とそれをもとにした養育費算定表が作成されており,全国の家庭裁判所で活用されています。
したがって,当事者間での協議や家庭裁判所での調停において養育費の金額について検討する際にも,この算定表を用いて話し合いを進めていくのが通常です。
この算定表は公表されており,裁判所のホームページからもダウンロード可能です。以下で算定表の使い方について簡単に説明しますので,可能であれば算定表を参照しながらお読みください。
養育費算定表は子どもの人数と年齢により場合分けされており,合計9ページから成っています。
算定表の縦軸には義務者の年収,横軸には権利者の年収が記載されています。義務者は養育費を支払う側,権利者は受け取る側(子どもを養育する親)で,それぞれの年収については,給与所得者であれば源泉徴収票,自営業者であれば確定申告書などをもとに当てはめます。
そのようにして算定された養育費の金額には1~2万円の幅が持たせてあり,通常はその範囲内で検討することになります。
算定表による金額はあくまでも標準的なもので絶対的な拘束力を持つものではありません。したがって,事情によっては算定表の幅を超える金額が認められることもあり得ますが,そのような算定が認められるのは,算定表により算定することが著しく公平を欠くというほど特別な事情がある場合に限られるとされています。
なお,離婚前に別居している夫婦の間では,婚姻費用(婚姻生活維持のための費用)の分担も問題になりますが,婚姻費用分担についても,養育費と同様の算定表が作成されており,原則として,算定表にしたがった算定がなされます。
養育費,婚姻費用など,離婚関係でお悩みの方は,当事務所へご相談ください。
執筆者:山下江法律事務所 稲垣 洋之